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| ガス低温化で新たな腐食問題が・・・・ |
ごく簡単に表現すれば、「塩酸にも硫酸にも強くなった画期的な耐食性普通鋼」。それが新日本製鐵(以下新日鐵)の「新S-TEN1」だ。S-TEN1は化石燃料を使うプラント排煙設備用の耐硫酸性鋼として昭和40(1965)年に開発。以来今日に至るロングセラーで、耐硫酸性鋼の代名詞ともなっている。そのバージョンアップ商品との位置づけで「新」をつけた。
新S-TEN1開発のきっかけは、1990年代末から特にごみ焼却設備の排煙装置での新たな腐食事例の頻発だった。ダイオキシン規制に伴い排ガスの急冷化・低温化が進められた結果、食品ごみやプラスチック等から発生する塩化水素濃度が上昇。装置鋼材の低温となる部分で塩酸が結露することが原因で、発生すればおよそ2年で穴が開くケースもあった。
プラントには従来から普通鋼が主に使われている。塩酸腐食への対応は、これを高合金鋼(鉄以外の合金元素を10%程度以上加えたものでステンレス鋼もその一種)に換えることがまず考えられる。しかし高合金鋼は施
工性、コスト面で採用が非常に困難であり、やはり「耐塩酸性に優れた普通鋼」が強く求められた。
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| 化学組成探求で生み出した“世界初” |
新たな腐食環境発生で急に高まったニーズの中、初めてのチャレンジとなる耐塩酸性普通鋼の開発は、容易ではないが、S-TEN1を超える耐食鋼開発という目標を持ったテーマとなった。 研究開発チームは、鋼材が酸に溶けるのは、酸中の水素イオンが鋼中の電子を奪い水素ガス化する化学反応であるという基本原理に改めて着目した。研究部門で開発に携った宇佐見さんが説明してくれた。「腐食は電池の
原理と共通の電気化学反応です。この反応を抑制するために行ったのが、各種合金元素の耐塩酸性検討に基づいた元素量の制御、すなわち最適な化学組成の探求です。その結果、少しの化学組成の変更と組み合わせで耐塩酸性が飛躍的に向上することがわかりました」。
その過程で、耐塩酸性とS-TEN1が誇る耐硫酸性との両立という壁にも遭遇したが、連日の頑張りでそれを克服。世界初の、従来の3倍以上塩酸に強く、また硫酸にも強い耐硫酸・塩酸露点腐食普通鋼を生み出した。
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| 生産体制OK、溶接材料もOK |
研究開発段階で試作したおよそ100kgの耐塩酸性鋼を、何百トンもの商品として工業化する・・・そのマッチングを手がけたのが名古屋製鐵所で新S-TEN1の造り込み、いわゆる製鋼・熱間圧延工程等の操業条件確立に関わった奥島さんだ。「S-TEN1+αの特性を持った研究所のシーズと、お客様が特にお求めの使いやすい普通鋼というニーズを合致させる各種特性と条件を評価検証。商品としての性能・品質を満足した上で、鋼板はじめ、鋼管等各種商品の生産体制を短期間で確立できたのは大変よかった」。
さて、鋼材ができても同等の性能を有した溶接材料がなければ、構造物としての機能は発揮されない。「溶接の方法によって複数の溶接材料が必要です。従来の溶接材料では、その耐食性は必ずしも十分でなかった。そこで鋼材と同様の思想で溶接金属の耐食性を向上。さらに現場での溶接姿勢を考慮した作業性の良い溶接材料を作り上げることに成功しました」と語るのは、接合研究センターで溶接材料開発を担当した児嶋さん。

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